2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

文学批評 デュラス『愛人』とバルト『明るい部屋』――「存在しない写真」と「時間」

<デュラス『愛人』> よく知られているように、マルグリット・デュラス『愛人』(『ラマン』)は次の文章から始まる。 《ある日、もう若くはないわたしなのに、とあるコンコースで、ひとりの男が寄ってきた。自己紹介をしてから、男はこう言った。「以前か…