2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

文学批評 二人の万菊 ――吉田修一『国宝』と三島由紀夫『女方』

三島由紀夫『女方』(昭和22年、1957年)と吉田修一『国宝』(平成30年、2018年)は歌舞伎の世界を描いた小説で、前者は短篇、後者は長編であり、どちらにも主役、脇役の違いこそあれ、名女形の「万菊(まんぎく)」が登場する。前者の万菊の芸名…